投資の格言として「卵はひとつのカゴに盛るな」というものがある。
同じ投資対象に集中的に投資すると、ちょっとした変化でも大きな影響を受け、
多大な損失を被る可能性が高いということである。
不動産投資においても、「卵はひとつのカゴに盛るな」は当てはまる。
同じ地域に同じような広さ・間取りの物件を多数持つと、
その地域のそのタイプの物件のニーズが減少したときに一挙に収益が減る可能性がある。
ただ、もしこのようなことが起こっても、
部屋の広さがある程度広ければ、様々なリフォームを施すことにより、
ターゲットを変えることが可能で、それほど損失を被らなくても済む可能性がある。
逆に言うと、同じ地域に「狭めの」同じような物件を持つと、
リスクが高く、それを回避するすべもほとんどないということになる。
さて、
今回は東急東横線白楽駅の規模の大きい1棟マンション。
規模は大きいが、ほぼすべて同じくらいの広さで同じような部屋なので、
管理はしやすいが、ニーズが減った時の損害は大きい。
また、借地権だということもしっかり考慮に入れて検討したい物件である。
大規模なシングル向け1棟マンション
狭めの同じような部屋がたくさんある物件
東急東横線白楽駅徒歩10分の比較的規模の大きな1棟マンション。
各部屋は平均18.66平米と比較的狭めである。
ロフトもなく、バストイレ一体型という典型的な狭小物件である。
東急東横線であるため、立地はまあまあ
東急東横線白楽駅ということで、ニーズは十分に見込めるが、
供給もかなり多いエリアなので、募集に際しては賃料設定などでかなり苦労するだろう。
RCマンションなので、修繕さえ行えば長期で使える
築30年ではあるが、前面タイル張りであるため、修繕さえ行えばきれいな外観は維持できるはずである。
まだまだ長く活躍してくれる建物だと思われる。
競合物件はかなり多い
親サイト適正家賃ドットコムポルティ賃料査定の周辺物件分析グラフ「ぶらりマーケティング」を用いて
周辺物件の分布を調べてみた。
結論から言うと、競合物件は多い。
特に築25年以上で20平米前後の物件は非常に多くあり、
他の物件との差別化はなかなか難しいだろうと思う。
同一駅競合物件も多い
同一駅に絞ってみても傾向としてはあまり変わらない。
同様の物件は多数存在する。
投資価値判断。結論は「ボーダーライン」
親サイト適正家賃ドットコムポルティ賃料査定のズバッと家賃ADVANCEを用いて、想定される賃料の試算を行った。
想定賃料よりも低めに想定しておくのが吉
中央値は、5.3万円程度。
下限は、4.5万円程度。
競合物件の多さや、狭さからくる工夫のしにくさなどを考えると、
4.5~4.8万円程度しか取れないと考えておいたほうが安全だろう。
収益性は悪くないが、問題点は「同じ部屋が大量にあること」
1部屋平均4.6万だとすると、44部屋あるので、年間の収益は2430万ほど。
利回りは10%を少し超えてくるくらいだろう。
築30年とは言え、RC造で利回りが10%を超えてくる物件はなかなかない。
耐用年数もまだまだ残っているため、融資を引いてくるのもそれほど難しくないだろう。
(※路線価などは考慮していません。)
だとすれば、初期費用さえ捻出できれば十分投資価値のある物件だと言えると思う。
ただ、やはり気になるのは同じ間取りの似たような広さの部屋が大量にあること。
10年、20年経過して、このタイプの部屋にニーズが亡くなってしまう可能性もないとは言えず、
大きなリスクを抱えた物件だと言えるだろう。
このくらいの規模になると、
ニーズのちょっとした変動が収益に大きく影響することが考えられる。
そういった意味でも初心者にはかなり厳しい物件だと言える。
改善余地はあまりない
募集に関しては改善余地はあまりない。
1棟マンションと言えども、狭めの同じ間取りを多く持つ物件はリスクが高い
RCでありながら高い利回りを出す物件であるということが分かった。
ただし、似たようなタイプの部屋の戸数があまりに多いため、
需要が減退した瞬間に一挙に収支が悪化する可能性がある。
そのあたりのリスクを許容できる方だけが手を出せる物件だと言えるかもしれない。