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スルガ銀行「かぼちゃの馬車」問題の本質とは?

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スマートデイズ「かぼちゃの馬車」問題とは?

このブログでは、「家賃」に焦点を当てて不動産投資の物件を分析している。
実際に私個人も投資物件を持つ投資家として活動をしており、
不動産投資の分野においては様々な知識があると自負している。

しかし、シェアハウスについてはあまり積極的に情報収集を行ってこなかったため、
スマートデイズという会社がかぼちゃの馬車というブランドでシェアハウスを建設し、
投資家に販売しているという情報は、問題が発覚してから初めて知った。

しかし、不動産投資家でブログを書いている以上、
この問題に言及をしなわけにはいかないだろうと思い、
今回この問題の本質について考えてみようと思う。

かぼちゃの馬車問題についての詳しい記事

このかぼちゃの馬車問題は私がここで詳しく述べるより、
既に様々なニュース記事なっているためそちらを参考としていただいたほうが良いだろう。

ビジネスジャーナル:
http://biz-journal.jp/2018/05/post_23258.html

東洋経済:
https://toyokeizai.net/articles/-/216811

かぼちゃの馬車問題の概要

とは言え、簡単に説明しておこう。

  • スマートデイズという会社が「かぼちゃの馬車」というブランド名で
    シェアハウスを建設し、投資家に販売していた
  • 購入した投資家に対し、スマートデイズが借り上げ、賃料を支払う形だった
  • 融資は主にスルガ銀行が行ったが、
    投資家の資産の水増しなどの行為をスマートデイズ側だけでなく、
    スルガ銀行側もグルとなって行い、不正な融資を行っていた
  • かぼちゃの馬車の賃料設定は高すぎ、
    運営を開始してもなかなか入居者が集まらなかった
  • スマートデイズが破綻し、オーナーには入居者がほとんどいない物件と、
    ローンのみが残された
  • ローンの支払いをするほどの収入を物件から得ることは難しく、多くの投資家が破産の危機に

ざっとこんな感じだ。

かぼちゃの馬車問題とは一言でいうと、「投資詐欺」

この話を「不動産投資」の話だと思うと、新手の詐欺なのかななんて思うが、
様々な投資のひとつだと考えるとこんな話はよくある話だと気づく。

・円天詐欺
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%BC

・投資詐欺の手口
https://yourbengo.jp/shohisha/16/

投資系の詐欺の基本構造は同じ

このような詐欺の基本的な構造は、

  • 毎月定期的に収入になる
  • 「新しいビジネス」とうたい、利回りが大きいように見せる
  • ビジネス本体は素人にはわかりずらい

こんな感じ。
この金余りの時代、利回りの高い投資などなかなかない。
将来に対する不安もあり、良い投資先を求めている人が大勢いる。

少しいい利回りを提示されただけで、
中身のビジネスがどうなっているかということにはあまり注目せず、
投資を決めてしまうというパターンが多いようだ。

一般的な投資詐欺とかぼちゃの馬車問題との違い

ただ、今回のスマートデイズ「かぼちゃの馬車問題」は少し違う点がある。

  • 利回りはかなり高いが、ビジネスの内容から見てありえないほどではない
  • 融資を行うという形でお墨付きを与えた「スルガ銀行」という金融機関がある
  • 自己資本が少ない人でも融資を受けることで参加できた

このように、古くからある投資詐欺よりも信頼できる要素がいくつかある。
古くからある投資詐欺には引っかからなかったとしても、
今回のかぼちゃの馬車には引っかかる人はいるかもしれない。
また、自己資本がない人でも融資を受けることによって、
詐欺に引っかかってしまっていることは大きな問題だろう。

スマートデイズは破綻し、スルガ銀行に責任を問うという流れに

このような「かぼちゃの馬車」というシェアハウスを
多数販売していたスマートデイズだが、結局経営破綻する。
この経営破綻がそもそも計画されていたものなのか、
それとも、中の人たちも本気で「これは新しいビジネスだ」と信じていたにもかかわらず、
結果的にうまくいかず破綻してしまったのかはわからない。

しかし、実際に購入して多額のローンを抱え、
ローンを返済するほどの収益が得られない物件しか残らなかった方々は多くいるわけで、
これらの方々がスルガ銀行に責任を問いたくなる気持ちもわからないでもない。

そして、この記事の執筆時点では、被害者団体がスルガ銀行を提訴するかも
というところまで来ている状態である。

かぼちゃの馬車問題の本質

さて、この問題の本質は何だろうか。
なぜこのような問題が発生してしまったのだろうか。

不動産投資家という立場から見ると、この問題の本質はやはり、
「かぼちゃの馬車というシェアハウスがビジネスとして成り立っているか」という視点を、
投資家が持っていなかったことに尽きるだろうと思う。

これはもちろん他の投資詐欺でも同じだ。

ビジネスの内容を見極める目を持とう

融資された資金だろうが、自己資金だろうが、
自分の資金を投資する先がどのようなビジネスを行っているのか、
それはどのくらいの利益をもたらすのか、
営業マンが言う利回りは他の似たような業種と比べてどのくらい高いのか、
その高さはどこから来るのか・・・等々

今回の問題は、そのような視点を持たずに投資してしまった投資家に問題がある。

これはかぼちゃの馬車以外の不動産投資でも全く同じだ。
現状得られている賃料が本当に今後も得られるのか、
賃料相場は周辺と比べて高すぎないか、
建物の状態は、周辺地域の将来性は・・・等々
こういうビジネス的視点で見て、
ちゃんと利益が出る仕組みになっているかどうかを確認しなければならない。

このようなことを考えもせずに不動産投資を始める人は、恐らく失敗する。
そういうことを考えずにうまくいっている人は運がいいだけだ。

上場株式の売買だけでは身につかない

「これまで株の売買はやっていたし、投資の経験はある。」
という反論をされる方もいるかもしれない。
しかし、上場株式の安全性は証券取引所が担保してくれている。
ビジネスの内容が嘘だったり、あまりに非現実的な内容の会社は上場できない。
そのようなチェックを経た会社の株だけを売買していたとしても、
ビジネスの内容を見極める目が育つわけがない。

権威主義に陥るなかれ

「だとしても銀行が手を貸すのはいかがなものか」という反論もあろう。
しかし私に言わせれば、銀行だろうが、大企業だろうが、国だろうが、
詐欺師は権威のあるものをうまく利用するものだ。

もちろん、スルガ銀行には文書の偽造をしたりして
不正な融資を行ったという責任はあるだろう。
社会的信用を失ったのは事実だし、私文書偽造などの罪に問われても仕方がないと思う。
もしかしたら違法性もあり、業務停止などの処分を受ける可能性もある。

しかし、それは投資家がかぼちゃの馬車に投資してしまったこととは本質的には関係がない。
スルガ銀行はあくまでもかぼちゃの馬車の不動産に融資しただけであって、
かぼちゃの馬車というビジネスにお墨付きを与えたわけではないからだ。

銀行も市場経済のいちプレイヤーに過ぎない

普通、銀行が収益不動産に融資する場合、その収益性などをしっかりチェックする。
ちゃんと収入は得られているか、ニーズがある物件なのか等々。
しかし、それはあくまでも銀行が自分の融資の回収のためにチェックしているのであって、
投資家のためにチェックしてあげているわけでもなければ、
物件にお墨付きを与えるためにチェックしているわけでもない。

これは勘違いしてはいけない重要なポイントだ。
銀行と言えど、市場経済のいちプレイヤーに過ぎない。
あくまでも自己の利益の最大化のために行動している。

銀行が融資をしたという事実は、
そのビジネスが安全である可能性を高めてくれる情報ではあるが、
そのビジネスに補償をしてくれるわけではないということだ。

責任を問えますか?

天気予報が「晴れ」と言っているからといって、
野外イベントを挙行し、雨が降って損失が生じたとしても、
天気予報を出した気象庁に責任を問えないのと同じだ。

今回のこの問題では
市場価格よりはるかに高い賃料で利回りを計算していたようである。
これさえしっかり見抜ければ、
遅かれ早かれスマートデイズが破綻することは分かったはずだ。

逆に言うと、
適正な賃料で利益が出る計画になっていれば、
いくらスルガ銀行が不正な融資をしていても、
ビジネス的には何の問題もないはずだ。

このようなことから考えても、
銀行に投資の責任を負わせるということには無理があることがわかるだろう。

かぼちゃの馬車問題から得られる教訓とは?

それでは、不動産投資に関わる者が
この問題から得られる教訓について考えていこう。

そのためには、法律的なことから考えていかなければならない。

消費者は法律で保護されている

日本に限らず、多くの先進国では「消費者を保護する」という名目のもと、
様々な法律が制定されている。
お店で買ったハンバーガーが腐っていてお腹を壊せば、損害賠償を請求できるし、
電気屋で買った扇風機が壊れて発火して火事になれば、メーカーに責任を問える。

消費者として生活するには、この上なく快適な環境である。

労働者も様々な点で保障されている。
会社でも自分の仕事さえこなしていれば、
自分の会社がどのようなビジネスでどのように利益を上げているのかすら
知らなくても給料はもらえるし、仕事でけがをすれば様々な補償がある。

商取引は対等な取引である

一方で商売や投資などの世界は、
騙されるのは自己責任という厳しい世界だ。
対等な商取引が基本となるため、法律では一方的に保護などはしてくれない。

今回のスマートデイズ「かぼちゃの馬車」問題も、
銀行、運営販売会社、投資家など関係者は多くいるが、
あくまでもそれぞれ対等な立場で取引を行っているに過ぎない。

このような商取引の場面で、消費者根性を丸出しにすると痛い目を見る。
「信用できる人が言っているから大丈夫」
「騙されたら誰かが責任を取ってくれる」
「国が法律でしっかり取り締まっているから大丈夫」等々・・・

そんなわけはない。

社会はビジネスで回っている

日本を含む世界をリードする国のほとんどは市場経済の国である。
市場経済の国では人々のほとんどの活動はビジネス活動である。
消費者という立場で商品を購入するときのみ保護されているが、
基本的に行動はすべて自己責任で、
あらゆる取引は契約によって成り立っている。

そのような国に生きていて、ビジネス感覚を持っていないことは、
はっきり言って自殺行為だ。

家族や友人以外の誰かが、
何かを言ったり、何かをしたりすれば、
それはビジネス的な裏があるとみるべきだ。

その言動・行動をすることによって、
その人が得をするからそういう行動をしているだけだ。
(他人が得をするからと言って自分が損をするとは限らないことに注意)

そういう目で世の中を眺め、
ビジネス感覚を磨いていけば、
スマートデイズ「かぼちゃの馬車」問題にも引っかかることはないし、
あらゆる投資詐欺に引っかかることもないだろう。

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