都心の駅近物件を買え!は本当なのか?
不動産投資のセミナーなどに行くと、
「都心の駅近物件以外は下落の可能性が高いから投資対象にするべきではない」
などという意見をよく耳にします。
これって本当なんでしょうか?
このような主張をする方の意見の要点は以下です。
・日本は人口減少社会なので、賃貸物件のニーズは減る一方だ
・ニーズが減れば利便性の低い物件は空室が埋まらなくなる
・バブル崩壊後の30年ほどでも都心の駅近は価値があまり下がっていない
これら原因により、
「都心の駅近物件に投資すべきだ」となるらしい。
必ずしも都心駅近が有利とは言えない
でもこれ、私に言わせれば眉唾ものです。
日本人が減少していくということには異論はありません。
しかし、ヨーロッパを見てみればわかるように、
移民を受け入れたり、政策によって出生率を上げたりすることができれば、
必ずしも賃貸物件のニーズが減る一方ではないと考えられます。
また、たしかに駅近の物件は利便性は高いかもしれません。
しかし、今後も「駅に近いほうが価値が高い」
という価値観が変わらない保証はどこにもありません。
最近ではテレワークや通信教育が発達しつつあり、
これまでのように毎日通勤通学のため電車に乗るということは
一般的ではなくなる可能性もあります。
そうなれば相対的に駅近物件の価格は下落する可能性もあります。
経済学的に「今後も上がるか最低でも維持される」を考えてみよう
もっというと、「これまで価値が上がり続けたのだから今後も上がり続ける」
という保証はどこにもありません。
経済学を勉強した方なら誰でも解ると思いますが、
「上がり続ける」という保証がもしあったとすると、
買えば絶対に儲かるのですから、買うひとが殺到し、
一挙に「想定される金額」まで値上がりしてしまうはずです。
そうなっていないということは、下がる可能性もあるということです。
世の中の多くのひとが一生懸命考えた結果、現在の価格になっているのです。
もし、「世の中の人々」よりも自分のほうが賢いと思えば、
ガンガン買いまくればいいと思います。
物件は投資家としての「自分の特性」をもとに考えるべき
さて、では何を考えて物件を選べばよいのでしょうか。
私の考える方法はズバリ「自分にあっているかどうか」です。
手間をかける時間的余裕があるか、
空室やその他のリスクにどれだけ耐えられるか、
元手はどのくらいあるのか、
リスクを取ってでも高い収益を望むのか、低リスクで低い収益を望むのか。
このようなことを考えて物件を選ぶべきです。
今日ご紹介する物件は、
都心からかなり離れた郊外に位置する物件です。
郊外ということでニーズは限られており、周辺の空室率も高いですが、
表示されている利回りは非常に高いです。
また、各部屋は広めなので色々と手をかければ利回りを上げることも可能な物件です。
ベテラン投資家が高い利回りを狙う物件
このような物件に適した方は、
自己資金が多く、リスク耐性も高く、
手間をかける時間的余裕がある方です。
一般的な忙しいサラリーマンの方や、不動産投資初心者にはなかなかおすすめできない物件です。
築は古いが広めでロフト付き
築30年ほどの物件となると、広さは20平米以下で、バストイレ一体型という物件が非常に多くなります。
日本は経済成長は鈍化したとはいえ、一人のひとが必要とするスペースは年々広くなってきています。
そのため、20平米以下の物件だと、基本的なニーズが減ってきており、
なかなか空室が埋まらないということが起こります。
その点、この物件はロフト付きということもあり、
部屋を広々使えるので、十分ニーズがある部屋だと思います。
都心への通勤通学ニーズは期待できない
東武東上線で新宿まで1時間と、かなり距離があります。
都心まで毎日通勤するのはちょっと大変かもしれません。
駅までの距離も10分と結構あるため、
地元のニーズを中心に探していく必要があると思います。
外観は比較的きれい
外観は築29年の割には比較的きれいですので、
内装をしっかりリフォームすれば、まだまだ十分現役で活躍しれくれそうです。
広めのロフト付きは差別化要素となりうる
当サイトの親サイト「適正家賃ドットコムポルティ賃料査定」の周辺物件分析グラフをもちいて競合物件の分析を行いました。
これを見ると、ロフト付きに限らなければ22平米は特別広いとは言えませんが、
ロフト付きに限ると、築古ではこの広さはほぼ見当たりません。
ロフトを希望していて、しかも部屋が広いことが条件であれば、
賃料面で築浅と勝負して勝てるはずです。
募集ではうまく工夫すれば十分入居者を見つけられると思います。
利回りの高さで、投資価値は高い
想定賃料は3万円弱
適正家賃ドットコムポルティ賃料査定のズバッと家賃アドバンスで賃料分析を行いました。
1階の部屋で想定賃料は中央値が2.8万円程度、上限が3.4万円程度となりました。
ニーズは比較的あると考えられます。
かつ広めの物件ということで、様々な設備を設置することで物件価値を高めることも可能で、
中央値より少し高い平均3万円程度でも十分な稼働率が得られると思います。
利回りはかなり高い12%台
平均3万円だとすると、年間の収入は648万円。
表面利回りは11.17%となります。
築年数29年とはいえ、11%はそうそう見つけられない数字です。
もし融資が得られ、手間をかける時間があり、
リスク耐性があるのであれば、ぜひ購入を検討してみてはいかがでしょうか。
唯一気になるのは18室という部屋数の多さ
基本的には非常に良い物件だと思いますが、
唯一気になるのは、18室という部屋の多さです。
18室もあると、もし何かしらの理由でこの地域のニーズがなくなった瞬間、
一挙に収益性が低下し、首が回らなくなる可能性があります。
その可能性も含めて呑める方以外にはなかなかおすすめはできません。
まとめ
今回は郊外の広めのロフト付き物件の分析を行いました。
郊外といえども、少ないとはいえニーズはある。
そのニーズを的確に捉えられる物件であり、
しかもそれをしっかりと把握して運営していけば、
高い利回りが期待できると思います。
都心の駅近の物件だと表面利回りが5%などという物件もザラで、
必要経費を引いた収益が殆どないという物件も多いです。
そのような物件と、郊外だけれども収益性が高い物件、
どちらが良いか、よく考えて投資を始めたらいかがでしょうか。