首都圏では駅からどのくらいの距離であるかというのが、
賃料を決める非常に重要な要素となっている。
基本的な移動手段を電車としている人が非常に多いためだ。
その結果、特に賃貸物件においては、多少周辺環境が良くても
駅から遠く不便な物件は敬遠され賃料が安くなる傾向にある。
同じ理由で、最寄り駅が都心その他の中心都市へどのくらいアクセスが良いのかというのも重要な要素である。
さて、
今回分析する物件も、駅から遠い物件である。
さらに、最寄り駅は都内でも珍しいほどの利便性の悪さである。
しかし、都内でありながら非常に公園の多いエリアに位置し、
隣を川が流れていたり、車が通る道路と面していなかったりと、
住環境としては非常に優れている。
このような物件をどう評価するかというのは、
当サイトの親サイト適正家賃ドットコムポルティ賃料査定の「ズバッと家賃ADVANCE」はもちろん、
人手で査定することもなかなか難しい。
しかし、ニーズがはっきりしないということは、
不動産投資をする者にとっては工夫次第では化ける可能性がある物件ということでもあり、
こういった物件をうまく評価できるようになれれば、
不動産投資での成功も見えてくるのではないだろうか。
都内でも有数のアクセスの悪いエリア
築古で狭め、バストイレ一体型というありふれた間取り
西武多摩川線という、都内でも有数のローカル路線沿線の多磨駅から徒歩18分という距離。
築は28年で各部屋の広さは平均17.01平米。ロフトはなく、バストイレは一体型。
アクセスは悪いが住環境は良い
序文から何度もいっているが、西武多摩川線多磨駅ということで、
都心へのアクセスはあまり良くなく、都心へ通勤通学する人のニーズはおそらくない。
周辺の大学や会社、バスで近隣に通う方のニーズを狙うべきだろう。
周辺には公園が非常に多くあり、散歩が好きな方にとっては非常に魅力的なエリアだろう。
物件近辺も太い道路も繁華街もなく、おそらく非常に静かな住宅街だろう。
住環境の良さに合った外観を目指したい
写真で見る限りではあるが、築年数の割には比較的きれいで、ふるさはあまり感じない。
しっかり管理を行い、内装をきれいにリフォームしていけば、
築年数はそれほど大きなディスアドバンテージにはならないだろう。
ただ、単にきれいにすればいいというわけではないと思う。
というのはこのようなエリアにすき好んで住む人は、
住まいのイメージというものに対しても希望がある可能性が高いからだ。
都心へ通うので、「家は寝られればいい」という層とは一線を画す可能性が高い。
そのあたりを意識して、外観を整えていけば、一つの強みにもなるだろう。
アクセスの悪さをプラスイメージに変えられるか
やはりなんと言っても、都心やその他の大きな街へ通うニーズがほとんど期待できないという点が特別だ。
これをどう評価するかでこの物件の価値は大きく変わるだろう。
上記画像は当サイトの親サイト適正家賃ドットコムポルティ賃料査定の周辺物件分析グラフで分析した結果の画像。
競合物件はそれほど多くはない
多磨駅の物件は多くはない
競合物件は駅から18分も離れているということや、
そもそも多磨駅を最寄りとする物件が少ないこともあって、それほど多くはない。
ただ逆に言うと、ニーズがないということの現れでもある。
周辺駅はあまり有力な競合にはならない
多摩駅以外では、都心への通勤通学のニーズがあるため、
駅から遠い物件はそれなりにある。他の路線の駅が最寄りの物件が多いだろう。
つまり、「住環境」を前面に押していけば、
競争相手はそれほど多くなくなる。
というより、多くなくなる方向性にすべてを持って行かなければならない。
投資価値があるのかと言われると難しい・・・
この物件の投資価値判断は非常に難しい。
慎重を期すならば、現地の不動産屋さんや実際に物件周辺へ行って調査すべきだろう。
本当に住環境が良いと言えるのか、それは周辺住民や不動産屋さんが知っているのか、
そのような需要があるのか、バスの利便性はどうか等々。
しかしそれではこのサイトの分析の意味がないので、
ネット上からわかる情報だけで私の主観で判断してみる。
私の主観で言うと、ニーズは「ある」と思う。
こういうエリア特有ののんびりした感じが好きなひとがいるからだ。
東京都内はどこへ行ってもたいていビルばかりでどこか忙しいイメージがある。
しかし、都心ではない都内で働いていながら、都会すぎる場所が苦手な人がいる。
このような人にとっては、このようなエリアは検討に値するエリアだろう。
このようなエリアは東京近郊だと、吉祥寺や三鷹駅から少し歩いたエリアにある。
このあたりのエリアは都心へのアクセスも比較的良いため、賃料は高めである。
もう少し賃料が安めで、のんびりした雰囲気が好きな方であれば、住んでくれるかもしれない。
また、「自然を求める」というと少しリッチな層のイメージがあるが、
プアな若者層にもそういう人が多くいるのもまた事実だ。
賃貸物件のニーズが多くあってもおかしくはない。
ただ、募集にはしっかりした戦略が必要だろう。
広告費をかけて多くの不動産屋さんに紹介してもらうという方法だけでなく、
駅近くの裏通りにある老舗の不動産屋さんに仲介をお願いしたり、
募集広告で物件の特徴をしっかりアピールしていくなどの工夫が必要だろう。
場合によっては、少し離れていても類似の雰囲気を持つ吉祥寺などの不動産屋さんへ
営業をかけることも有効かもしれない。
想定賃料は高めと予想する
上記工夫をしっかり行ったとすれば、ズバッと家賃ADVANCEで算出される数値の
中央値以上の賃料が取れる可能性がある。
ズバッと家賃ADVANCEで分析したところ、
中央値が、4.2万円、上限が5万円程度となった。
多少余裕を見ても4.2万円は取れる物件だと考えても良いと思う。
収益性は十分
1部屋平均4.2万円だとすれば、表面利回りは9.6%となる。
表示よりは少し低い数値ではあるが、建物の綺麗さなどから考えれば、
私なら投資対象としては「検討の価値あり」だと判断する。
ニーズがあると思ったら、さらに検討を進めてみよう
やはりどの程度ニーズがあるのかを見極められるかがキモだ。
ニーズがわかったとしてもそのニーズにどうやってアプローチしていくか、
そのニーズに応える物件の内装や広告などを考えていかなければならない。
まとめ
今回分析を行った物件は、もう少し深い調査をしてみないと詳しいことはよくわからないという結論となった。
ネット上からわかる情報をもとに私の主観で判断すると、「一応検討の価値はある」となった。
ネット上からわかる情報だけではやはり限界があるため、投資を行う際には、
ネット上の調査で「投資対象」となった物件に対し、
実際の現地調査など行うことによって最終判断をして行く必要がある。